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習慣化のフレームワーク(型)

 新型コロナウイルスが猛威を振るい在宅勤務が普及している昨今、コロナ太りになっている方も多いのではないか。自身もこの1年で10㎏も太ってしまい、まさに時代を象徴した体型になってしまった。 

 そんな中、毎日ランニングすることを決めて二カ月が経過し、体重も徐々に落ちてきた。習慣化には良い習慣と悪い習慣があり、習慣化に対しての様々な考え方があることは把握しているが、ともかく前向きかつ楽しく習慣化できたことには満足している。

 ところで、“なりたい自分”に近づくために習慣化にトライするものの、うまくいかなかった経験はないだろうか。本コラムでは、世間で言われている習慣化の技術に加えて、自身の体験から得た習慣化の気付きを記したい。

 

 一般的に習慣化するには、「きっかけを行動につなげて、行動と報酬を結び付けること」が重要だと言われている。きっかけを行動につなげるとは、ある行動が起こると定型的に別の行動が起こるようにトリガーを決めておくことだ。これは、習慣化を実現するテクニックで“if-thenプログラム”とも呼ばれている。例えば、お風呂に入ったらストレッチをするとか、ベッドに入ったら読書をして就寝するといった具合だ。

 また、行動と報酬を結び付けるとは、行動した後に何かしらのご褒美を自身に与えることだ。モチベーション理論で言えば、外発的動機付けであり、先ほどの例で言えば、ストレッチをしたら好きなジュースを飲むといった具合である。これを“エンハンシング効果”とも呼ぶ。

 実際、習慣化についてGoogleで調べてみると、どの記事にも「きっかけ→行動→報酬」のサイクルと類似の内容が書かれている。つまり、習慣化には、“if-thenプログラム”と“エンハンシング効果”の掛け合わせが重要だと言えそうだ。

 

 しかし、本当にこれを実践すれば“なりたい自分”に近づくことはできるのだろうか。短期的に習慣化できたとしても、長期間継続することは難しい。また、継続することによるマイナス要素だってあるのではないか。こんなことを考えているうちに、習慣化に失敗するポイント(壁)を考察することが、習慣化を成功させる真のフレームワーク(型)の構築につながると思うようになった。

 

 習慣化の壁は主に3点あると考える。1つ目は、マンネリ化により築き上げた習慣が崩れてしまうことだ。同じことを続けていると飽きることは誰しもある。飽きてしまうことで、行動のスイッチが入らなくなり、“なりたい自分”から遠ざかってしまうのだ。この手の対応方法は、新しい刺激を取り入れて、取り組みの負荷を上げるか、別の取り組みを追加するとよい。自身のランニングの体験で言えば、距離を長くすること、走る速度を上げること、ルートを変更することでうまくマンネリ化を回避できたように思う。

 

 2つ目は、1つ目のマンネリ化を解消するために新しい刺激を取り入れた結果、習慣化ができなくなってしまうことだ。例えば、負荷をかけすぎると膝が痛くなり、そもそも走れなくなってしまう。また、筋トレのような別メニューを追加で取り入れるなどの工夫が、返って習慣のリズムを狂わせてしまい、毎日走るということができなくなってしまうのだ。

 この対応方法は、ソフトランディングを意識するとよい。20分のランニングに追加で筋トレをするのではなく、ランニングは15分にして筋トレを5分するとか、ランニングの途中に簡単な筋トレを取り入れるようにするなど、新たな刺激に徐々に慣れさせた上で、負荷を上げていくイメージだ。

 

 3つ目は、目的を達成させるために他に良い選択肢があるにもかかわらず、既存の習慣に縛られる慣性の法則が存在することだ。実は、ランニングをし続けて2週間が経過した時、何のために走っているのかがよく分からなくなってしまった。痩せるために始めたランニングだったが、痩せるだけでなく、筋肉もつけたいという気持ちに変化している自分に気づけていなかったのだ。

 痩せるかつ筋肉をつけるのであれば、食事療法や筋トレを重点的に実施すればよい。しかし、痩せるということを第一義にランニングに邁進してしまい、恥ずかしながら上記の選択肢に思い至らなかった。

 この対応方法は、何のための習慣化なのかを自問自答するとよい。自身に当てはめると、走っている際に、習慣化の目的を考えることで、若い頃のような肉体に戻せるかもしれないという希望が湧いた自分に気付き、目的そのものが変わっていることを認知することができた。結果、今では炭水化物の摂取を控え、夜は20時までに食事を済ませ、筋トレとランニングの時間を1:1で実施している。

 

 このように見ると、習慣化のフレームワーク(型)は、日々「きっかけ→行動→報酬」のサイクルを回しながら、①マンネリ化の解消、②刺激時のソフトランディング、③目的の再認知といった習慣化の壁の打開策を組み合わせることで完成するという結論に至った。

 

 ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士によると、人の行動は平均して66日程度で習慣化するという。この66日間(約2か月)を1つの周期と捉え、上記の習慣化のフレームワーク(型)を実践していくことが、長期的な習慣化の実現につながり、“なりたい自分”に近づけることを可能にするのだと思う。

 習慣の本質は、「習うより慣れろ」の行動から始まり、「慣れたら習う」の工夫の繰り返し、つまり“習”と“慣”の反復運動(習⇔慣)であり、習慣化とはその反復運動を通じて自身の壁を乗り越え、“なりたい自分”に近づくためのシルクロードなのではないだろうか。

 イチローは、「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところにいくただ一つの道である」と習慣化の重要性を説いている。緊急事態宣言が明けて新たな生活が始まる時分に、まだ見ぬ自分に出会うための習慣化にトライしてみてはいかがだろうか。自身の習慣化の旅は始まったばかりだ。

 

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