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まずは有能なフォロワーを目指せ!新入社員の組織貢献への道!

2021年度の新卒社員が入社して早くも2ヶ月が経過した。すでに現場に配属され、試行錯誤の中で実務を学んでいる人もいれば、未だ新入社員研修の真っ最中だという人もいることだろう。

社員が企業に求めるものは変わってきている昨今ではあるが、新入社員として組織に加わったからには、少しでも早く成長して、自社や組織に貢献したいと考えている方も多いのではないだろうか。

入社してすぐに能力を最大限に発揮していくことは、とても難しいことだが、自身の成長を加速させ、貢献できる自分を作り上げるために、実践してみて欲しいポリシーがある。それが「フォロワーシップ」である。

「フォロワーシップ」とは、自分自身が組織の中で活躍し、それが組織全体に波及し、やがて大きな成果につながっていくような、人へのかかわり方の考え方であり、新入社員は知っておくべきものである。米カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授は、「組織の成功は部下がその8割を握っている」と説いているが、優秀なマネージャーの陰には、必ず「フォロワーシップ」に満ち溢れた優秀な部下が存在している。自分自身の「フォロワーシップ」の発揮こそが、組織をより良くしていく近道であるといっても過言ではない。

企業には必ず組織があり、社員は組織の中に組み込まれて活動し、組織的な行動が求められる。組織にはマネジメントを役割とするマネジメント層(リーダー)が存在し、リーダーは配下のメンバーが適切に行動するように様々な手段を講じて働きかけることで、組織全体の付加価値を最大化していく。また、組織のリーダーには、強い指導力や牽引力、統率力が必要であり、それらを総称して「リーダーシップ」と呼んでいる。一方で、「リーダー」に従って動くものを「フォロワー」と呼ぶ。「フォロワー」とは、「従者,随員、信望者」と訳されるが、「リーダー」に盲目的に従って行動するだけでは、単なる「従者」でしかない。

大事なのは「フォロワーシップ」を持った「フォロワー」である。そして、「有能なフォロワー」とは「フォロワーシップ」に溢れた考えや行動をとることができる人のことを指す。

なお、「フォロワーシップ」とは「上司のリーダーシップを補完するものとして、部下(フォロワー)の自主的な判断や行動によってリーダーを支え、組織成果の最大化に資する能力、または具体的な行動」※1だとされている。よって、「フォロワー」はリーダーの指示や指導が正しいことだと確信を持てない場合には、自主的な判断のもとで、リーダーの前提を超えて組織に貢献することまでが求められている。

 

では、「有能なフォロワー」とはどのような状態を言うのだろうか?

 

ロバート・ケリー教授は、「フォロワー」には、5つのタイプがあると説いている。

 ①『模範的フォロワー』:「批判的思考」×「積極的関与」
  他者に対し建設的な批判や提言を行いながら組織に貢献することが出来るフォロワー

②『順応型フォロワー』:「依存的・無批判な考え」×「積極的関与」
  他者の決定や指示に従順に従うが、指示待ちやイエスマンのような一面を持つフォロワー

③『孤立型フォロワー』:「批判的思考」×「消極的関与」
  他者への批判はするが貢献意欲が低く、自ら行動に移すことをしないフォロワー

④『消極的フォロワー』:「依存的・無批判な考え」×「消極的関与」
  他者の指示の通りもしくはそれ以下のことしか行わず組織貢献のための行動もしないというフォロワー

⑤『実務型フォロワー』:「考えがない」×「消極的関与」
  自身の業務範囲内の仕事はやる一方で、それ以外については積極的に関わることがないフォロワー

 

この①~⑤のフォロワータイプの中で、「フォロワーシップ」を持った「有能なフォロワー」とは、①の『模範的フォロワー』だけで、他は、正に「フォロワー」=「従者」でしかない。「有能なフォロワー」とは、考えと行動の両面が備わっている必要がある(自分自身を優秀だと考えている人には、③の「孤立型フォロワー」が多い)

なお、「リーダーシップ」は上司やリーダーと呼ばれる人たちだけが発揮すべきものではなく、組織の階層や役割に関わらず、誰もが発揮すべきものであると言われている。ゆえに、他者の「リーダーシップ」を補完するものである「フォロワーシップ」も、部下や組織メンバーだけが発揮すべきものではない。上司やリーダーであっても自分自身が「リーダーシップ」を発揮しながら、他者(部下や組織メンバー)のリーダーシップを補完する「フォロワーシップ」を発揮することは重要であり、それらは表裏一体の関係性であるということだ。

 

では、自分自身が「フォロワーシップ」に満ち溢れた発言や行動がとれるようになるためにはどうすべきだろうか?それは次の3つの考え方「主義」をインプットし、まずは出来ることから実践することにある。

 

 1.「我がこと主義」

意外に難しいのが、この「自分がその人だったら、その人の立場だったら」という、相手の立場に立ってモノゴトを捉えること(我がこと主義)である。自分よりも上位層であれば見渡す景色も違うだろうし、複雑な社内的な事情を抱えているかもしれない。相手がどうして欲しいのかを常に考えてみることは、相手を深く知るためにも重要な考え方である。例えば、資料作りであれば、上司や先輩などから指示を受けた通りに作業をするだけではなく、その資料は上司や先輩に提出した後に、どのように活用されるのかまで把握するようにすると、相手がして欲しいことを考えやすくなる。

 

 2.「補完主義」

“補完”とは、「不十分な部分を補って完全なものにすること」である。強い「リーダーシップ」を発揮する「リーダー」でさえも、自分の実行していることに100%の自信を持っているわけではなく、常に迷いと悔いの繰り返しである。「リーダー」の思考や行動の不足部分を埋めて、成果の最大化に向けてより適切な思考や行動への軌道修正が、「模範的フォロワー」の役割でもある。新入社員の立場で、「模範的フォロワー」として、他者に対する建設的な批判や提言をするのが難しい場合は、まずは、“本当にそうか” “他にはないのか”と思考を巡らせるとよい。その上で、分からないことや疑問を相手に質問すると、相手は自身の思考や行動の不足部分に気づくきっかけになる。

 

 3.「行動主義」

「模範的フォロワー」は積極的関与の姿勢が体現される。考えてはいるが、行動や発言につながらないのでは「孤立的フォロワー」である。この積極的関与を妨げるのが、「したくないこと」を「できないこと」に置き換えて考えてしまう、悪しき思考の癖をつけてしまうことだ。人は面倒なことや仕事が増えてしまうことを嫌がる傾向にある。その「したくないこと」を「できないこと=(したいのは山々だけど〇〇のような理由があって今はできない)」に置き換えて、自分自身を納得させてしまう事象である。多くのビジネスマンが、この思考に陥り「フォロワーシップ」を発揮できないでいる。まずは、行動してみる、発言してみるといった、実際の行動につなげる強い意志が求められている。例えば、自分にできることや手伝えることが無いか、自ら周囲へ積極的に声をかけてみることから始め、常に“どうすれば出来るか?”と考える良い思考の癖をつけることをお勧めしたい。

 

以上の「3つの主義」を忘れずに日々の仕事を実施していくことで、やがて「フォロワーシップ」に満ち溢れた行動につながり、それを見ているリーダーは、組織マネジメントを実施するうえで、あなたの必要性を痛感し、そのことが強い信頼の獲得につながっていく。

 

新入社員は、優秀なマネージャーを目指して、スキルや知識を磨くことに専念しがちであるが、組織人として信頼を獲得するための行動は、将来マネージャーになったときの強いリーダーシップの発揮につながっていくのである。想像してみよう。そう遠くない未来で、高いレベルの専門的な能力を持ちながら、強いリーダーシップを発揮して組織をぐいぐい牽引している自分の姿が見えるはずだ。その第一歩は、自分自身がリーダーから頼りにされる「有能なフォロワー」になることにある。

2021年新入社員のこれからの成長と活躍に期待したい。

 

※1:次世代型組織へのフォロワーシップ論~リーダーシップ主義からの脱却~松山一紀著

 

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