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敬老の日って何の日?

 2024年9月16日は、敬老の日である。日本の国民の祝日の1つで、毎年9月の第3月曜日に設定されている。敬老の日の起原は兵庫県にある村で、当時の村長がお年寄りを敬い、村の発展のための知恵を借りることを目的に、敬老会を開催したことが発祥とされている。 元々の敬老の日は9月15日であったが、2001年の法改正により、ハッピーマンデー制度(祝日の一部を月曜日に移動することで土日月の三連休にする試み)が導入され、2003年から9月の第3月曜日に変更され現在の形になった。制度制定後には、敬老の日のある週は、秋分の日とも近いため、暦によっては秋の大型連休になることがあり、別名シルバーウィークとも呼ばれている。

 

 敬老の日は、高齢者を敬い長寿を祝う日とされているが、現在の日本の高齢者を取り巻く環境を踏まえると、祝い事とは言い切れない複雑な問題を抱えている。日本は、“65歳以上が国の人口の21%以上を占めている社会”という超高齢社会に当てはまっており、現在総人口における65歳以上人口の割合は29.1%である。内閣府の将来推計人口データによると2070年には、総人口における65歳以上人口の割合が38.7%になる。2070年には私も65歳以上人口に該当することもあり、現在の高齢者の生活や、自分自身がこれからどのように生きていくべきか気になったので調べてみた。

 

 高齢者を取り巻く環境を見てみると、高齢化率の上昇と共に65歳以上の一人暮らし率も上昇していた。1980年には、65歳以上の男女のうち一人暮らしの者の割合は男性4.3%と女性11.2%に対し、2020年には、男性15.0%と女性22.1%と増加している。一人暮らしの高齢者が増加することにより、社会的孤立や健康リスクの増加が懸念され、2013年時点で、65歳以上の一人暮らし男女に行った幸福度に関する調査では、高い幸福度を感じる男性は女性の半分となっており、現在の経済的な暮らし向きに心配があると答えた割合が全体の23.4%いる。日常生活の不安については、健康や病気が58.9%と最も多く、寝たきりや身体が不自由になり介護が必要となる状態になること、自然災害、生活のための収入のこと、の順に多かった。これらから、特に一人暮らし高齢者の間では、将来において幸福な生活や経済面・健康・介護面で不安を抱えている人が多いといえそうだ。

 

 では、社会や高齢者個人はどのようにその不安を解消していくべきか。大きく分けて3つの観点から考えてみる。

① 幸福な生活を送るために

 幸福な生活には、社会的つながりが必要不可欠だといわれている。休日には近所の公園で元気な高齢者たちがゲートボールやテニスなどを楽しんでいる姿が見られるが、なるべく個人ではなく複数人のコミュニティなどに参加して孤立感を減少させることが効果的なのではないだろうか。スポーツやボランティアなどいろいろな種類の地域のコミュニティを充実させ、そこに参加し、交流の場を増やすと良いだろう。

 

② 経済面で不安をなくすために

 経済面では、高齢者の収入増加を目指し、健康で意欲のある高齢者は多様な働き方を選択できるよう、定年延長や継続雇用制度の充実や、高齢者の特性を理解した働きやすい環境づくりについて、大企業中心に整えている最中である。労働人口の減少への対策として、企業にとっても、高齢者雇用は重要な経営戦略の一環といえるだろう。会社や企業というコミュニティに属することで高齢者側の孤立感の減少にもつながる。

 

③  健康・介護面で不安をなくすために

 健康・介護面では、健康のための予防医療と、介護サービスの拡充が考えられる。厚生労働省は2035年までに「キュア中心からケア中心へ」を掲げ、『疾病の治癒と生命維持を主目的とする「キュア中心」の時代から、慢性疾患や一定の支障を抱えても生活の質を維持・向上させ、身体的のみならず精神的・社会的な意味も含めた健康を保つことを目指す「ケア中心」の時代への転換』を図ると発表している。これに基づき最新のデータと医療の組み合わせから、健康で豊かな生活を目指すことが可能となっていくだろう。また、介護については、介護業界の労働環境改善により持続可能な介護サービスの提供を社会全体で目指していく動きが必要となる。

 

 これらのことから、高齢者の幸福な生活に必要なものは、①社会的つながりの強化、②柔軟な雇用による経済安定、③予防医療の充実と健康管理、が挙げられる。

 自分が高齢者になる頃、約40年後の世界で幸福な生活を送るために、今からどのようなことができるか考えてみた。

1.社会とのつながり

 何か複数人で行う習い事や地域のイベントなどのコミュニティに参加することで社会とのつながりを持ちたい。現在も趣味で、定期的な運動やピアノなどの習い事も行っているので、自分の興味を追求する場として、持続的な関係が築けるようなコミュニティに積極的にアンテナを張っていきたい。

 

2.経済的な安定

 まずは現在から資産形成のために運用を行うなど蓄えを増やすことと、定年後も働くことの2つあると考えられる。例えば、仮に運用利回りが3%で月に2万円積み立てておけば、40年後には1852万程であり、より積極的な運用をすればさらに運用益が増える可能性もあるだろう。定年後も働くことを想定した場合には、自分の趣味や好きなことが仕事になるような状態を目指したい。やや短期的な目線で見た場合は、ライフスタイルに合わせた働き方ができるよう環境を整えておきたい。リモートでも働けるようなスキルを複数身に着けていくことも有効だろう。

 

3.健康管理

 健康のためには、今のうちから健康的な生活習慣を身につけ、予防医療に積極的に参加していきたい。病気の兆候が表れてから治療や対処をするだけでなく、会社での健康診断、かかりつけ医での定期健診や、趣味の運動の継続や食事にも気を配り、心身ともに健康な状態を目指して生活していきたい。

 

 上記3つに関わることとして、これからの人生を見据え、これまで挑戦したことのない新しい経験や体験に積極的に投資し、長く続けられる趣味や自分の好きなことを見つけたい。最終的には、そこで培った趣味や興味が仕事へと繋がり、収入を得ることができれば理想的である。そうなれば、社会との繋がりを保ちながら、経済的にも安定し、さらに好きなことに取り組むことで、心身の充実感や健康にもつながるだろう。今のうちに自分と向き合い、心から楽しめるもの、心地よく感じられるものを少しずつ探していきたい。

 

 さて、敬老の日は、高齢者を敬い長寿を願うだけの日ではない。現在の社会が抱える課題や自分自身の生き方に目を向け、若者も高齢者も様々な人々が生き生きと幸せに暮らせる社会を目指す日にしていきたい。

 

雪うさぎ

 

参考文献

内閣府『令和6年版高齢社会白書』https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html

内閣府『平成27年版高齢社会白書』https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/html/gaiyou/s1_3_1.html

厚生労働省『保険医療2035』https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/future/

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