脳が疲れていると感じたことはないだろうか。我々ビジネスパーソンは日々忙しく仕事に励み、自社や顧客の課題解決に尽力している。とはいえ、脳が疲労することで、普段仕事をしている際に、脳が締め付けられるように感じて、簡単なことでも判断が鈍ってしまうことや、頭の中でモヤがかかって、人の話が入ってこないなんてことを経験された方もいるのではないだろうか。
実はここ数カ月、脳が疲れていると感じる機会が増えたからか、仕事や日々の生活を遂行することで手一杯になり、熱意をもって何かに取り組むことができなくなっていた。このような状況もあり、疲労感を解消することが自身のテーマになっていった。
そこで、脳疲労の原因を調べた結果、興味深い気づきが得られた。脳には、情報処理を司る“大脳新皮質”と、感情を司る“大脳辺縁系”、そして自律神経などをコントロールする“間脳”と呼ばれる3つの機能があるそうだ。これら3つの機能がそれぞれ父親、母親、子供だと仮定すると、ストレスや情報過多によって、3人の関係性が不和になっている状態が脳疲労の状態なのだという。脳疲労をこのように捉えると、現実味が増してくるのではないか。
では、脳疲労を解消するために何をすればよいだろうか。様々な改善策を試した結果、3つのコツが有効であると体感したため、本コラムで紹介してみたい。
1つ目のコツは、情報過多になることを前提に、情報処理の工夫を施すのである。脳の容量には限界があるため、意図的にスペースを作り出すことが重要だ。現在は、インターネットが普及し、昔に比べて自然と情報洪水になってしまうものであるし、仕事もテクノロジーの進化により、マルチタスクなものが増えているように思う。そのような中で、脳に余計な情報を滞留させずに余白を作るイメージを持つとよい。
具体的には、「覚えることをせずに情報を吐き出す」ことをお勧めする。例えば、メモを取ることや、新たに仕入れた情報について概念化し、その内容を簡単にまとめておく。こうすると、いざ情報が必要になった時にそのまとめを見返して、いつでも情報を思い出すことができるため、新しい情報を覚える必要がなくなる。つまり、意図的に脳のスペースを作ることができる。
2つ目のコツは、余計なことを考えずに“今ここ”に集中することだ。脳は無意識に色々なことを浮かべるものであり、放っておくと不安や焦燥感にかられて、脳内が情報過多になってしまう。そんな時は、自分の手のひらの匂いや、服など普段身に着けている物の匂いを嗅ぐとよい。こうすることで、過去や未来に脳の意識を向けさせずに、現在の“今ここ”に自分を引き戻すことができる。
また、マルチタスクを遂行する際に、タスクを分解して1つずつ進めていくことも効果的だ。業務中は、メールやチャットが届くと、つい開封して集中力を削がれてしまうものだが、「分解したタスクを1つ終えるまでは開封しない」といったルールを設けることで、脳に余裕を持たせて、一時的に情報過多を回避できるようになる。こちらも、“今ここ”に集中する1つの手法なのだろう。
3つ目のコツは、とにかく十分な睡眠をとることだ。これは、脳内が情報過多にならないための予防的な意味合いもある。特に、日本人は睡眠不足の傾向が強く、適正な睡眠時間である7時間を確保できていない方が多い。睡眠は、脳をデフラグメンテーション*する効果があるため、脳疲労を少しでも感じたらしっかりと寝ることが重要だ。因みに、流行りのリカバリーウェアを着用して寝ると、睡眠中に血行が促進されてぐっすり眠れることが多くなった。さらに、快眠枕もお勧めする。これらは、普段の睡眠の量と質を高めてくれるため、脳疲労の慢性化防止につながる。
以上のような、3つのコツを実践したことによって、脳が締め付けられるとか、頭の中でモヤがかかるなどといった現象は以前と比べて少なくなったし、安定した気力で、仕事に取り組めるようになってきたように感じる。
もちろん脳疲労の解消には、運動する、音楽を聴く、旅行するなど、有効な改善策はたくさんある。他にも、日常の中で、笑うことや感情をぶつけるといった、喜怒哀楽を意図的に表出することも、効果があるかもしれない。要は、色々な改善策を試して、自分に合った解消方法を見つけることが重要であると思う。
脳疲労は、現代人が避けることのできない症状であり、放っておくと肉体や精神に支障をきたす可能性もあるため、十分に注意を払っておく必要がある。読者の皆さんにおかれても、普段から自身の脳を労わってケアすることを実践してみてもらいたい。脳内メンテナンスにより、人生のQOL(生活の質)が高まったと実感してもらえるだろう。
U2
*パソコン内部のストレージ(記憶媒体)を最適化する処理のこと。データの保存・削除を繰り返し行うことで発生するストレージの断片化を解消し、読み書き速度を向上する
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