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いま、ここ、じぶん

 2024年がスタートしたが、年始早々から心痛ましいニュースが続いている。 

 何よりもまず能登半島地震や飛行機事故、火災事故などで亡くなられた方々に慎んでお悔やみ申し上げると共に、被害にあわれたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。 

 

 正月という時期柄においては、去年一年を振り返りながら、新しく迎える年の抱負を考える、そのような時間を過ごされる方も多いのではないでしょうか。私も御多分に漏れずそのような人間であり、年末の時期から来るべき年に向けてどのようなことを大事に過ごしていこうか考えながら過ごしていた。今日はそのような時間の中で出会った私が大切にしていきたい禅の言葉をご紹介して本稿としたい。 

 

 禅のルーツは紀元前5世紀ごろ、釈迦が座禅による瞑想で悟りを得たことから始まる。日本には中国から鎌倉初期に伝わり、武家社会の中で禅の死生観に関心が寄せられ広まっていった。いまとなっては、“Zen”が世界共通語になりつつあるほど世界にまで広まっており、世界の大企業の経営者や一流スポーツ選手など各界の著名人がその考え方を取り入れているといわれている。 

 

 私は、禅の言葉について紹介している参考書籍(巻末タイトル参照)を読みながら、以下の3つの禅の言葉がふと目に飛び込んできたので、本稿に記しておきたいと思った次第である。 

 

 

 一、挨拶 

 

 「挨」は押す、「拶」は迫るという意味で、本来は禅僧が互いに押し問答をして、相手の力量、悟りの深さを推し量ることを「挨拶」と呼ぶ。 

 

 成功しているビジネスパーソンの共通要素の一つにこの「挨拶」を気持ちよく行っているというのが挙げられることがある。私自身、コンサルタントという仕事柄いろいろな会社のオフィスに伺わせていただくことが多いが、入り口の守衛さんなどに社員さんが元気に挨拶しているような会社は実際に業績も良く勢いがある場合が多く、「挨拶」と仕事の成功に相関を感じずにはいられない。 

 メンバーとの「挨拶」という意味でも、毎日同じ人と「挨拶」をしていると、その言葉のトーンやニュアンスでその人の状態がつかめるようなそのような暗黙知もあると思う。まさに禅僧が「挨拶」を交わすことで相手の悟り具合を確かめたように、「挨拶」によって相手の内面の状態を確かめることがとても重要なのではないだろうか。テレワークが主流になってなかなか対面での「挨拶」の機会が減っている今だからこそ、改めてその重要性を意識したい言葉である。 

 

 

 二、玄関 

 

 「玄妙に入る関」が縮められた言葉で、奥深い道理、絶対的な真理に入っていく関所という意味。 

 

 普段何の気なしに通っている家の「玄関」、自社オフィスの「玄関」、お客様先の会社の「玄関」、そのような“関”を通る機会は日常にあふれかえっているが、例えば、自社オフィスの「玄関」を通るときは、一流の仕事をするプロとしての気合を入れなおすスイッチとし、お客様先の「玄関」を通すときは、ここを通るに相応しい人間かどうかを身なりも含めて問い直すスイッチとすることでお客様への向き合い方も変わるような気がする。(非常に曖昧な表現だが、この「~ような気がする」ことがそれこそ非常に大切なのだと私自身は感じている。) 

「玄関」とは建物の“顔”であり、そこを通るときに今一度自分の中でその意味するところを意識することが、様々なシーンにおいて自分自身のスイッチを入れるきっかけとして重要ではないかと改めて思わされた言葉である。 

  

 

 三、即今、当処、自己 

 

 そのまま現代語に訳すなら「いま、ここ、じぶん」。過去も未来もなく、いま、ここで、自分が生きるということをあらわす言葉。 

 

 私自身、ついつい過去の後悔や将来への不安に時間を浪費してしまうことがある。過去や未来が気になるあまり「いま、ここ」がおろそかになるようでは人生の成功は望めないということを教えてくれる言葉である。KDDIの創業者でJAL再建の立役者でもあるかの有名な稲盛和夫氏も「即今、当処、自己」を重視した人物であるそうで、日々の積み重ねが未来を切り拓くと考え、驚くことに長期の経営計画を立てたことがないそうだ。もちろん、中長期的な視点を持つこと、それ自体を否定するわけではないがこの言葉を意識することが日々の彩りを変える重要なキーになるのではないかと私自身は感じずにはいられない。特に、年始の痛ましいニュースを遠い土地で眺めるだけの自分にとっては「いま、ここ、じぶん」にできることに集中するべきだなと改めて思わされた言葉である。 

 

 以上、私自身が大事にしていきたい禅の言葉を3つご紹介した。来年本稿を振り返って読んだ時にどうだったかを図る試金石にしておきたいと思う。 

 

 最後にはなるが、被災地の復興に尽力されている皆様もきっと「いま、ここ、じぶん」にできることを必死にされていることと容易に推察できる。そのような皆様の活動に心より感謝を申し上げるとともに、被災された皆様のいち早い心身の回復と復興を願って筆をおきたい。 

 

 

参考書籍:「仕事に生きる禅の言葉」 島津清彦・著 

 

 

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