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2011.06.05

携帯電話ゲームの技術革新からビジネスチャンスを見出そう!

 ここ2,3年の間に、電車内の人々や、街の人々が携帯電話ゲームをしている光景を良く目にするようになった。背景としては、2007年にGREEの『釣り★スタ』がリリースされて以来、人気を集めているソーシャルゲームのユーザー数が拡大していることが挙げられる。実際に、2007年4月から2011年3月までの間、日本のソーシャルゲーム/SNSのユーザー数の増加は凄まじいものである。GREEは116万人から2400万人に、モバゲーは484万人から2400万人に、そしてmixiは919万人から2265万人に増加した。その上、Facebookユーザーが2011年5月に300万人を超え、アメーバピグユーザーも2011年2月に600万人を超えている。なお、現在もこれらのユーザーは増加している状況である。
 携帯電話ゲーム市場がこれだけ多くのユーザーを有しており、これからもユーザー数が増加するコミュニティであることに注目して、ここでは、この魅力的なコミュニティを企業のビジネスに利用できないものか、について考えたい。

 現在、携帯電話ゲームユーザーの位置情報を活用した“位置登録ゲーム(以下、”位置ゲー”)が、2011年ヒット予測の1位にランクインするほど注目されている。中でも特に注目を集めているのが、日経トレンディでtwitterの次に来ると予想された、米国のネットサービスの「フォースクエア」である。ユーザー数は2011年2月時点にて世界で約700万人となり、ここのところ毎月100万人のペースで増加している。 「フォースクエア」とは、ユーザーがスマートフォンやGPS機能付きの携帯電話で、自分が今いるレストランや商業施設、観光名所などに、チェックイン(ここに着たよ)という印をつけたり、それを友達とシェアしたりするサービスである。
 この「フォースクエア」をビジネスに活用する事例が、既に米国ではマクドナルド、スターバックス、GAP、ドミノピザなど幾つも出てきている。中でも、マクドナルドでのキャンペーンは、費用対効果の高い成功例だ。キャンペーンの内容は、5ドルと10ドルのギフトカードを計100枚、チェックインしたユーザーにランダムにプレゼントするというものである。結果として、わずか1000ドルのキャンペーン費用に対して、「マクドナルドの実店舗に足を運んだユーザー数が1日で33%アップした」「キャンペーンが50以上のメディアに取り上げられた」「twitterなど各種SNSで60万ユーザーがフォローした」という効果を出した。広告費が5000万円である日経新聞の一面広告でさえも、ここまで即効性のある反響が得られるのは珍しい。
 一方、日本でも、2005年5月に「コロニーな生活☆プラス」という“位置ゲー”が誕生しており、ユーザー数が2010年12月に155万人に到達するほど注目を集めている。「コロニーな生活☆プラス」は、「フォースクエア」のチェックインと同様の機能が搭載されており、ユーザーの位置情報を取得することができる携帯電話ゲームである。昨年2010年5月に東京メトロが、「コロニーな生活☆プラス」とコラボ企画を実施して、1日乗車券が連日1000枚売れるという盛況を見せたのも記憶に新しい。

 今後は、日本でも「フォースクエア」ユーザーが増えることが予想されており、企業はこれまで以上に携帯電話ゲームユーザーの位置情報を取得することができるようになるだろう。そして、これまで以上に多くの位置情報を利用することで、これまでにないビジネスチャンスを発見することができるようになるはずである。例えば、現在企業は顧客の購買行動を予測するために、顧客の活動パターンを知ることに多くの労力をかけているが、この多くの位置情報を利用できれば、簡単に顧客の活動パターンを知ることができるようになる。以下に、顧客の活動パターンを知り、それを元に潜在ターゲットを発見し、マーケティング施策を打つための提案をしたい。
 まず①自社の顧客の“位置ゲー”のチェックイン履歴(“チェックイン”という名前はゲーム毎に異なる)と、②“位置ゲー”の全ユーザーのチェックイン履歴を取得する。次に、①から自社の顧客の活動パターンを分析し、②から同様の特徴を持つユーザーを発見する。最後に、②から発見したユーザーを潜在ターゲットとしてマーケティングに利用するというものだ。マーケティングへの利用例としては、潜在ターゲットへ広告等の情報発信をすることなどが考えられる。なお、広告などの情報発信を行う際は、あくまでユーザーが見たいときに広告を閲覧できるように、携帯電話ゲームサイトにユーザーを指定して広告を掲載できるようにしたほうがいい。広告メール等を使用すると、事前同意の有無に関わらず顧客に不愉快な思いをさせる可能性があり、顧客が離れる危険があるからである。また、自社から発信した広告を閲覧して、商品を購入してくれた顧客に対して、アイテムをプレゼントするなどの工夫をすれば、ゲームの一環として顧客が広告を見てくれることも期待できる。①、②を取得するためには、当然各企業工夫が必要だ。例えば、“位置ゲー”の楽しみ方の一つであるアイテムコレクション機能を利用して、次のようなキャンペーンを行うと効果があるだろう。①の取得のためには自社の顧客のみを対象に、一方②の取得のためには“位置ゲー”の全ユーザーを対象にして、“位置ゲー”のチェックイン履歴を提供するとプレミアアイテムが取得できるというものだ。
 この提案は、顧客の行動スタイルに傾向を見つけられることと、これらを実現する仕組みの構築が条件となるが、条件をクリアすることができれば、多数の潜在ターゲットに対して、自社側からアクションを起こせるようになる。また、これまでにない“位置ゲー”のチェックイン履歴による新しい顧客セグメントを見出すことが可能になり、自社の戦略の幅を広げることに繋がるはずだ。
 顧客としても、不特定多数の企業から広告が掲載されるのではなく、自分の嗜好にあった広告が掲載される可能性が高くメリットとなる。一方、ゲームサイト側も効果に応じて手数料を企業から取得できたり、ユーザーのチェックイン履歴を提供する際に料金を取れたりすれば、このような仕組みを構築するメリットがある。

 携帯電話ゲームと携帯電話の技術革新は今後も進むことだろう。そしてこの技術革新により、携帯電話ユーザーの情報資産を、これまで以上に取得できるようになることが期待できる。携帯電話の技術革新は、多くの人が注目していると思われるが、携帯電話ゲームの技術革新に注目することを忘れてはいけない。携帯電話ゲームを単なるゲームとしてとらえるのではなく、携帯電話ゲームを通して携帯電話ゲームユーザーの情報資産を取得し、ビジネスに利用することを考えなければ、機会損失を招きかねない時代になってきているのである。今後の携帯電話ゲームと携帯電話の技術革新に目を光らせ、ビジネスチャンスを見いだそうではないか。


                                                 

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