PMI Consulting Co.,ltd.
scroll down ▼

2026.02.09

生成AI時代の意思決定 疑いを消さずに前へ進む

 打合せ等の場面で、多くの人が意思決定時に求めるのは、結論となる“解”であり、生成AIの利用が広がったことで、以前よりも速く“解”に辿り着けるようになった。
 ただ、仕事で使う以上、解だけでは足りない。解を支える根拠や前提を辿り、「なぜそう言えるのか」を自分の言葉で説明できて初めて、相手の納得が得られる。
 ところが生成AIを使うと、自力で根拠の過程を組み立てていない状態の中、途中の論理や前提を十分に理解せず“整った解”へ飛びついてしまう場合がある。一見すると「生成AIに根拠まで整理させれば解決だ」と思える。しかし、それを自身で捉え直し、問い返されたときに自分の言葉で説明できる形にしておかなければ、結局は答えられない。これが顧客折衝の場面で起きれば、期待に応えられず、信頼を落とすことにもつながる。

 

 私にも似た経験がある。ある打ち合わせの後、生成AIに議事メモの骨子を作らせた。見出しも流れも綺麗で、読んだ瞬間は「これは早い」と思った。ところが、整理した複数の論点の粒度がズレているミスを見つけた。致命傷ではないが、その“一箇所”が見つかった途端、頭の中に別の疑いが増殖した。

 「他にもズレているのでは」「何か見落としていないか」「そもそもこの解は本当に正しいのだろうか」。
 故に、私自身の“安心”は増えず、むしろ“不安”が上回った。生成AIが出してくれるのは“解”ではなく、“解っぽい何か”というような感覚だった。なぜなら、その解がどんな前提で、どこから導かれたのかを自分の言葉で説明できず、根拠に戻れない状態になっていたからだ。もしこれが顧客に『根拠は?』と聞かれたとしたら冷や汗が出る。そして一度そうなると、確認のために行き来する回数や対話が増え、かえって余計な時間を要してしまう。

 

 ただ、疑いを無くすことができれば良いわけではない。疑うことは健全である。問題は、疑いが意思決定のブレーキを強くかける(もしくは複数回かける)ことである。生成AIは出力が整っている分「どこまで確かめれば十分か」が見えにくい。結果、「一応もう一回…」が繰り返され、確認し、また疑うという負のループに入りやすい。これでは、本来速くしたかった作業が遅くなるため、元も子もない。

 

 必要なのは、疑いを抱えたままでも前に進めるように、「辿り方」を先に決めておくことである。ここでいう「辿り方」とは、疑ったときにどこを見て、何を確かめ、どこまで確かめたら前に進むかを、先に決めておくことだ。
 これができると、「疑っているから止まる」ではなく、「疑っていても着実に前に進む」という状態に変わる。また、手順は厳密である必要はない。日々の仕事に埋め込める程度に“小さく”設計することが重要だ。

 例えば、以下を参考にしてほしい。

 

 前提:「生成AIに任せる領域」を決める
    そもそもAIには、“正誤が命”の結論をいきなり出させることではなく、思考の補助からにする。
 例:構成案、論点整理、たたき台、抜け漏れチェックの観点出し 等
    逆に、数値・固有名詞などの客観的な指標は一次情報として、人が確認する。また、最終的な結論の断定(判断)も人が責任を持つ。ここを決めておくと、確認する上で疑う対象が減る

 1:「最小の確認の型」を固定する
   確認を無限にしないこと。代わりに、必ずやる確認を3つだけ決める。
   ・根拠   :この要点は「誰の(どこの)」「どの発言/資料」から来ているか(辿れるか)
   ・決定の区別:「決まったこと」と「案・意見」が混ざっていないか
   ・言葉の定義:重要語の意味がズレていないか(例:「対象」「優先」「完了」)
   この3つが通れば前に進む。通らなければ戻す。この“確認の型”があると、若干の疑いは残っても判断が前に進む

 2:自分の言葉で言い換える
   AIの文章のまま活用しない。「自分はこう理解している、なぜならば・・・」と言い(書き)直せるかを整理する。その上で、言葉が曖昧になっている部分や、話していてイメージできなかった箇所の有無を確認できる

 

 ここまで出来て初めて、AIの解が“自分の解”になる。重要なのは文章の綺麗さではなく、こちらが理解し、根拠を持って説明できるかであり、これが相手への価値に繋がる。これができれば、相手に問い返された場合でも崩れにくく、無駄な疑いのループも減る。結果、AIで品質を保ちながら速くしたかった仕事が本当に速くなる。

 

 生成AIは、解に辿り着くスピードを上げた。一方で、整った文章が増え、何かあった際に疑いが生じるほど「どこまでを信じ、どこから確かめるか」が曖昧になりやすい。だからこそ、疑いを無理に消そうとするのではなく、疑いが出たときの“辿り方”を先に決めてほしい。

 皆さんの職場ではどうだろうか。AIの答えが整っているほど、かえって不安が増え、決めるのが遅くなる瞬間はないだろうか。もしあるなら、まずは確認の型を一つでもいいので、ご自身やチームで固定してみてほしい。鵜呑みを防ぎ、説明できる“自分の解”にする。その小さな入口だけで、業務の生産性は上がるのではないだろうか。

 

Land

Recruit

採用情報

お客様と共に成長し続ける新しい仲間を求めています

Contact

お問い合わせ