競合がひしめき合い、顧客のニーズも多様化する中、着実に事業を拡大し続けてきた同社は、その事業拡大に伴い、業務や組織も拡大化していた。
そうした背景の中、PMIが同社の経営トップから相談を受けた課題は、「ある部門の運営に問題を抱えている。実はその部門は業務効率が悪く、業績に悪影響を与えている。その部門にメスを入れてほしい。」というものであった。
まず、PMIは、部門の中でのキーマン育成の必要性を問題提起の仮説として設定した上で、経営トップや当該部門長へのインタビュー、情報収集、調査分析を繰り返し、徹底的に実施した。その結果、調査の結果から導き出されてきたのは、仮説とは異なり「問題は当該部門ではない。全社だ。」という”解”であった。
分析の結果、同社では、度重なる組織変更や経営方針の変更、リストラクチャリングという名の人員削減など、紆余曲折を繰り返してきた結果、事業間の境界は曖昧になり、社内には会社不信、経営者不信が芽生えてることが分かった。そして、会社への不信は、社員の中に「自分たちさえ良ければ良い」という気持ちを生み、強いセクショナリズムを醸成していることも分かった。
つまり、このセクショナリズムが、数多くの事業領域からなる各部門の内実の把握を困難にし、「部門運営に問題あり」と経営者に認識させていたのだ。
そこで、PMIは問題認識を改め、全社的な経営改革の必要性を経営トップへ進言した。まず最初に、各組織の責任者たちを集めてワークショップを開催し、組織として共通の課題意識を持ち、経営層の改革意思を理解することから始めていった。そして、彼ら自身の考えによって、全社をあげて課題に取り組んでいくための新たな経営組織体制を決定し、各組織は改革課題を設定して取り組みを始めた。さらに、不断の改革であることを示すために、経営層自ら各組織責任者との意見交換を行う定期的な場も設けた。
PMIは、経営改革は彼ら自身の力でやり遂げなければ何の意味も持たないと考えている。課題への取り組みは、同社の抱える問題への対処であると同時に、各組織責任者へのマネジメント・トレーニングとしての意義もある。改革によって組織のガバナンスを高めていくと共に、彼ら自身が成長していかなければならない。
現在、同社では、社員が経営層の提示する方針を正確に理解し、咀嚼して組織へ指示すること、部下の業務進捗を管理し、確実に成果をあげること、そういったマネジメント・トレーニングを通じて経営の視点を養うようになり、徐々にではあるが、セクショナリズムを排除し、会社全体の活性化が実現している。
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