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2012.12.26

2013年、我々が政治に関与する時が来た!?

 2012年度はアメリカやロシア、フランスでも大統領選挙が行われるなど、多くの国で指導者を選ぶ選挙があった。東アジアの国々でも指導者の交代があり、日本では12月16日の総選挙で安倍晋三総裁率いる自民党が圧勝し、26日の国会で内閣総理大臣に指名された。中国では11月に習近平氏が中国共産党中央委員会総書記に選出され、韓国では12月19日の大統領選挙で朴槿恵(パククンヘ)氏が当選し、来年2月に就任する。北朝鮮だけは少し早く2011年12月に金正恩(キムジョンウン)氏が最高指導者に就いている。余談であるが、この4カ国の指導者の顔ぶれから「日中韓朝の全ての指導者が太子党(※)」と評し、全ての指導者が世襲であることを指摘するコメントが、韓国の大統領選の結果が伝わったころからインターネット上で見られるようになった。 ※太子党:中国共産党の高級幹部の子弟等で特権的地位にいる者たちのこと、あるいはその総称。世襲的に受け継いだ特権と人脈を基にして、中国(あるいは華僑社会)の政財界に大きな影響力を持つという特徴がある。 ※念のため金正恩氏を除く各指導者の父や祖父を記載すると下記の通りである。  安倍晋三氏⇒父:安倍晋太郎(元外務大臣)・母方の祖父:岸信介(第56・57代内閣総理大臣)  習近平氏⇒父:習仲勲(八大元老)  朴槿恵氏⇒父:朴正煕(パクチョンヒ/第5-9代大統領)  指導者の交代という観点を日本の中でみれば、2009年8月の総選挙での政権交代から3年3カ月程経て再度の政権交代となり、民主・国民新が進めた政策の方針がガラッと変わる施策も多々あり、生活や仕事の場でそのことを実感することも頻繁にある。例えば経済対策としての公共事業。民主・国民新の政府は「コンクリートから人へ」というスローガンのもと、建物などのインフラへの投資から、家計への直接支援や所得再分配にシフトしていた。これが再度、コンクリート(企業への投資)に向い、企業の成長による雇用拡大や賃金増加を狙う政策へ回帰する。他にも、原子力発電所の再稼働などの論点を含んだ電力問題、自衛隊の位置づけ等、我々日本人の日常に大きく影響する政策の変更がある。  こういった政策の方針変更は、選挙という意思表示を一人ひとりが示した結果もたらされたものであると言える。では、選挙での投票を終えた今、我々は自民・公明の連立政権が進める政策を粛々と受け入れる他はないのだろうか。自分たちの生活に大きな影響を与えうる様々な法律の変更などがあれば、何らかの意思表示とアクションをすることで、政策の意思決定の場に何がしかの影響を与えられないだろうか。今回は政策に自分の意思を届ける方策について、筆者なりに考えをまとめたいと思う。  現状、多くの日本人が「自分が国の政策に関わる機会は選挙だけ」と思っており、言い換えると「できることは政権を担う与党を選ぶだけで個別の政策に関わることはできない」と思っている状態にあると認識している。このことが、政策の意思決定の場に自らの意思を届ける以前の根本的な問題であり、その原因として下記の3点を挙げることができる。  ①政策が決定して落とし込まれるまでのプロセスを知らない  ②自分たちができること(できることのオプション)を知らない  ③政治(政治家)と我々をつなぐメディアが整備されていない 以下それぞれについて簡単に整理する。 ①政策が決定して落とし込まれるまでのプロセスを知らない  皆さんは一つひとつの政策が決定されるプロセスを知っているだろうか。「国会に誰かが法案を提出し、それが知らない間に可決されて法律になっていく」、そんなイメージを漠然とお持ちなのではないか。実は政策決定において重要な意味を持つものに「審議会」というものがある。”●●審議会”といった言葉を新聞やニュースで見聞きしたこともあるはずだ。  一般的に政策のベースとなる法案は、官僚が原案を作成して国会議員と調整を図りながら練り上げていくが、その過程で内容を吟味するという位置づけで「審議会」を設定することは多い。この審議会は、官僚側からすると日常の業務とは別に議論や検証を行う場となるとともに、委員に著名な人材を据えることで、審議会での結論やそれを踏まえて策定した法案の権威づけを行う。人選は官庁の裁量で行われる為、官僚の意図する方向に沿った結論を出しやすい構造になっている。このような「審議会」の委員は誰で、どのような議論がされているかを知っている方はほとんどいないのが現状だろう。 ②自分たちができること(できることのオプション)を知らない  選挙以外にも、様々な形で政策立案に関与することができるが、具体的にどのような方法があるか、すぐに複数の方法を思いつく方は少ないはずだ。いくつか例をあげると、(1)デモ(一般的なデモ以外にサイバーデモ(twitterなどのフロー情報が一定量ストックされ看過できない状態になっていること))、(2)インターネットやSNSなどを利用した自らの考えの表明、(3)政治家に直接訴えかける、など、方法を洗い出すと自分でもできそうなものが複数あることに気づく。  これらの方法は大きく2つに分類できる。一つは自ら足を動かして実際にアクションすることである。デモや政治家への直接の訴えかけなどが該当する。デモも毎週金曜日の官邸前デモなど、気軽に参加できるデモもあり、以前よりも参加しやすくなっている。また、政治家への訴えかけというと、所謂”陳情”が想起され、何らかの団体に属していないと難しいように感じる。ただ、自分の住む選挙区選出の国会議員の地元事務所に行くのは案外簡単にできる。国会議員にとって、直接対峙した有権者からの声はインパクトがあり、(署名等とは違い)顔が見えることもあって無視できないようだ。  もう一つはインターネットを有効活用することである。サイバーデモであれば、自らの考えに近いツイートを拡散したりすることで展開することもできるし、Facebookなどを利用して自らの意思を外部に表明したり共感者を集めることもできる。  この2つの方法はともに相乗効果を発揮しやすいとも言える。実際に足を動かした取り組みを動画撮影してYoutubeにアップしたり、リアルタイムでtwtterに投稿したりと、それぞれを融合することで双方にプラスの効果を与えることができるのもポイントである。 ③政治(政治家)と我々をつなぐメディアが整備されていない  12月の総選挙の際に、公示日の12月4日から立候補者のブログ、twitterやFacebookなどの更新が一気に止まったことを記憶している方も多いだろう。これは公職選挙法の影響であるが、投票前に候補者者から直接得られる情報が、候補者の言動の確認が演説や選挙公報に限られてしまうことに不満や疑問を持った方も多いはずだ。日本維新の会の橋下代表代行のtwitterには90万人を超えるフォロワー(2012年12月25日現在)がおり、その影響力は計り知れない。それにも拘わらず、有権者が一番情報を欲する選挙直前のタイミングで、これらのツールが利用できなくなってしまう。もちろん政治家の日々の情報発信に対する意識や行動にも多分に問題があるかもしれないが、時間もコストもかからずに情報を送受信できるインターネットが選挙で利用できないことの負の影響は計り知れない。ここでは負の影響とは様々あるが、例えば国民側からすれば「大手メディアを介した二次情報というバイアスのかかった情報に影響される」、候補者側からすれば「ポスターやビラなどの人と資金の保有量が情報量と比例してしまう(ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)のジバン・カバンが無いと著しく不利になる)」など、個々の政治家が考える政策が正しく伝わりづらくなることなどである。  このように、「できることは政権を担う与党を選ぶだけで個別の政策に関わることはできない」と思っている状態を変えていくには、①~③を変えていくことが必要になる。③については国会での法律改正が必要になるため、今後の国会での議論に注目しつつも、①・②については自らの行動ひとつで変えていけることである。興味のある政策や法案の審議会の委員や議論の過程をチェックし、必要であれば委員に意思や考えを伝える。地元選出の国会議員の事務所に行ってみる。明日からやろうと思えばできることは案外多く、その効果(政策へどれだけ関与できているか)も実感しやすいものばかりである。このような活動が活発になることで、「自らの意思を表明することのない人々(投票しない人)が多数、特に若者に多い」という、政策に関わることそもそも放棄している人たちを変え、政治を取り巻く大きな問題となっている世代間格差解消のきっかけにもなるではないか。今回の政権交代を機に、自らが政治に関与する時が第一歩を踏み出す方が増えることを期待したい。  政策の意思決定の場に自らの意思を届けることで、2013年が素晴らしい日本をつくる転換の年になりますように! ※本コラムを執筆に際し、『ウェブで政治を動かす!』(津田大介著)を一部参考にしました

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