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2026.02.24

ビジョンクエスト

 最近企業の経営幹部と話をしていると、「自分の意思やポリシーを持って、自ら挑戦する人材を増やしたい」

といったテーマがよく上がる。決まった仕事や上司から指示された業務を遂行するのではなく、自ら考えて仕事を作り、主体的に動いてほしいといった思いからなのか、あるいは曖昧不確実な時代において、自ら意識や行動を柔軟に変化しなければ淘汰されるといった危機意識からくるものなのか、様々な視点はあるが、企業が抱える共通課題であることは間違いなさそうである。

 

 ところで、あなたは心の声に素直に従って仕事をしているだろうか。大半は、生活のために仕方なく仕事をする、世間の目を気にしながら仕事をする、やらざるを得ないという諦めから折り合いをつけて仕事をしているのではないか。これでは自分の本当の意思で仕事をしているとは言えないように思う。例えば、求められる責任や役割を意識するあまり、自分の大切にしている価値観や思いに反して自己犠牲的に仕事をしているのであれば、自分の意思とは無関係に働いていることになってしまう。

 

 実は私たちはみな、幼少期から“誰かの期待に応えなければならない”とか、“社会のルールに従わなければならない”といった、社会生活を営むための仮面をかぶって生きている。このような仮面を心理学ではペルソナと呼ぶが、ペルソナには熱源や内発的な動機がないのだ。つまり、ペルソナだけで仕事をしても、自分の心の声に従って働いているとは言えない*¹。職場においても、私たちは所属、役職、担当などによって、無意識のうちにペルソナを被って仕事をしてしまうものなのだ。

 

 ではペルソナではなく、心の声に従いながら、自らの意思を持って仕事ができるようになるにはどうしたらよいのだろうか。様々な方法が考えられるが、本稿では1つのアプローチを2つのステップに分けて簡略的に取り上げてみたい。

 

ステップ1:自己理解を深める
 ステップ1では、自分の価値観、強みなどを棚卸し、自分を振り返ることから始める。孫子の「敵を知り己を知れば百選危うからず」の言葉にあやかれば、己を深く知ることが重要なのである。特に、棚卸した特性が培われた背景や、自分の内発的動機が高まるメカニズムなどを客観的に紐解くことをお勧めしたい。

 参考として、まずは自分の価値観が形成された背景に目を向けてほしい。例えば、“努力は美徳”だという価値観を持ち、幼少期に親にテストの点数で褒められた原体験から、高得点を取るためにコツコツと反復練習することが大事であるという考え方が身についた人がいるとする。もちろん、努力自体は素晴らしいことであるが、この価値観を無意識に周囲に求めすぎると、自分の努力の基準に満たない者を卑下してしまう場合もある。こうして、“努力は美徳だ”という価値観をベースに、“努力しない人は悪だ”といったペルソナを形成することになる。このように、自分にはどんなペルソナがあり、そのペルソナはどのようにできたのかといった背景について考えることは、深い自己理解につながる。

 あわせて、強みや特性を振り返る際に、自分の熱源にも目を向けてみるとよい。人は、いつの間にか没頭していたとか、時間をいくらかけても苦にならないことが何かしらあるものだ。その根幹を探り、そもそも自分がなぜそういったものに興味を持つのかを考えてみると熱源は見つかりやすい。例えば、SNSで自分の考えを発信することに夢中になる人は、思考を整理体系化し、それを表現して誰かに伝えることに熱源を持っている可能性がある。自分が表現欲求の特性を強く有していることを理解していれば、普段の仕事でも、デザインや企画業務を自己表現として前向きに捉え直すことで、心の声に従った仕事ができるようになる。
 

ステップ2:ミッションと心の声を意識して仕事に取り組む
 次のステップでは、人生における山と谷の複数の出来事を振り返り、その出来事を線でつないでみてほしい。これをライフマップと呼ぶが、自分の人生を改めて俯瞰し、通底するテーマを探っていくのだ。

 例えば、これまでの仕事の成功パターンを洞察してみるとよい。自分は、ゼロから何かを生み出そうとするとうまくいかないが、アイデアの種を膨らませて成長させた時に、大きな成果を上げやすいパターンを発見したとする。この場合、今後も同様のパターンが発生する可能性があるため、再現性を高めるために、「自分の仕事のミッションは、1を10にすることである」と仮決めするのだ。そうすると、あらゆる場面で、既に1になっているものや、成長可能性のあるものに自然と目を向けるようになり、自分の強みや特性をプラスに発揮しやすくなる。

 そして、先程触れたケースのように自己表現を熱源として持っている方であれば、ミッションとして仮決めした1を10にするコツを体系化し、組織内で共有することで、自己表現欲求という自分の心の声に従いながら、大きな成果につなげることが可能となる。このようにミッションと心の声をリンクさせると、自分の熱源をベースに仕事ができるようになる。

 

 2つのステップの最大のポイントは、自分をメタ認知*²し、獲得した気づきをもとに自分の仕事を再定義することである。因みに、一人でやるのではなく、周囲と共に実施するとより効果が高まる*³。いずれにせよ、自己理解を深めて、仕事のミッションを意識し、仕事の意義を再定義するだけでも、自らが無意識につくりあげた仮面に気付き、抑圧していた心の開放につながる。

 

 誤解のないように申し上げると、心の開放はわがままとは異なる。わがままは、何かしら満たされていない心を満たそうとするため、かえって何かに縛られている心理状態なのである。真の心の開放とは、さまざまな情報、思考の枠、価値観、人間関係などのしがらみ(呪い)に無意識に縛られている自分を解放してあげることなのである。

 

 ご紹介してきたアプローチを当社ではビジョンクエストと呼んでいる。RPG(ロールプレイングゲーム)のドラゴンクエストのように、自分が主人公として、人生を幸せに生きるための攻略方法を仲間と探求するイメージから命名した。読者のみなさまは既にお気づきかもしれないが、このアプローチの本質は、自分の内側に意識を向けることなのである。自分の心の声を聞いて、心の声を大事にしながら仕事に向き合い続けることでポリシーが明確になり、今よりも主体的な行動ができるようになるのだ。

 

 ビジョンクエストは、人材育成、グロースマインドセット、チームビルディングなどさまざまな課題に応用することが可能であり、今後の人事・組織領域のトレンドアプローチになると自負している。本稿のような課題感があり、ビジョンクエストに興味を持たれた場合は、気軽にお問合せいただきたい。激しく変化する世の中を、開放された心と強い意思をもって、共に切り開いていこうではないか。 

 

U2

 

*1:ペルソナで仕事をすることが悪いわけではない。ペルソナだけで仕事をしても内発的動機につながらないということ
*2:メタ認知とは、自分の思考や感情、行動を客観的に把握し、適切に調整すること
*3:周囲との対話は、他者を自分の写し鏡として見ることができるようになり、心の声(潜在意識)にアクセスしやすくなる

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