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いま、リーダーに求められること

 日々の業務に邁進し、組織の中の一プレイヤーとして成果を着実に出していたあなたはいつしか組織の中での評価を高め、リーダーとしてメンバーを率いる立場に移っていく。いままで経験のなかった業務を急に任されることに戸惑いを感じたあなたはどのようにすればよいのかに悩み、何かの助けを求めて家の近くの本屋に立ち寄るとそこには“○○リーダーシップ”と題した本が多種多様にずらっと並んでいる光景が目に飛び込んでくる。どれから読めばいいのか、どのようなスキルを磨けばいいのか自分では判断できずに“リーダーシップ”をタイトルに冠した書籍たちの前で立ち尽くし途方に暮れてしまう。誰かが光明をもたらしてくれればいいのに、と。。。

 

 どのような企業においても管理職にはじめて上がる段階で上記のような経験をする人は少なくないのではないだろうか。そこで、いまのリーダーに求められるリーダーシップの要素とは果たして何なのかをテーマに考察してみたい。

 

 歴史を紐解くとリーダーに求められるリーダーシップは有史以前からその時代背景や環境要因、集団の特性などにより大きく変化・進化を遂げてきた。「リーダーシップ進化論」という本によれば、そのときそのときの置かれた環境に応じてリーダーシップは以下のような進化を遂げてきていると述べられている。

 

 人類誕生以前:狼の群れに象徴されるように最も原始的な家族を守るリーダーシップ

→旧跡時代以降:石器や火というツールを進化させる集団学習を導くリーダーシップ

→農耕時代以降:余剰資源の管理を主導し、統制をとるリーダーシップ

→四大文明誕生以降;文化的進化を導き知の探索を主導するリーダーシップ

→ルネサンス以降;今を振り返り、壊し新たな未来を描き再生に導くリーダーシップ

→インターネット普及以降:革命的な変化の中で道筋を示し創造的破壊に貢献するリーダーシップ

 

 本から端的にわかることは、いつの時代においてもその時代背景を踏まえて求められるリーダーシップの要素が変わってきていることだ。つまり、いまのリーダーに求められるリーダーシップの要素を考える上では、いまの時代背景を踏まえておく必要があるといえる。日本国内の歴史を少し振り返ってみると、高度経済成長期から1990年代にかけての変化の少ない安定成長時代においては意思決定を現場に分散させた現場最適なボトムアップ経営が主流であったが、バブル崩壊によって劇的な改革が必要とされ、いままでの現場分散型の経営ではなく強いリーダーシップでのトップダウン経営が主流に変わっていった。(ちょうどこのころからCXOが出現するようになる。)しかし、変化が激しくなった昨今においては変化に素早く適応できる組織能力が求められるようになり、個々人の働き方や働く場所なども多様化していく中で共有された価値観に基づく新たな分散型の組織づくりが主流になりつつある。そのような状況では、現場で変化に適応し、新たな価値(成果)を生み出すリーダーの存在があらゆる企業でますます重要になってきている。

 

 いまのリーダーが組織を導いていく上で、環境要因として踏まえるべきこれからのビジネスにおける重要なポイントは以下の4つが大きく挙げられるのではないだろうか。

 

〇不確実性:

 ビジネス環境はより変化し複雑性を増し、昨日の正解が今日の不正解になるような

 VUCA時代に突入しており、取引先や顧客企業も変化していく中で、現場のリーダー

 たちもいままでにない戦い方を主導することが求められている

 

〇流動性:

 人的資本経営の重要性が増し、企業にとって重要なリソースである人は人生100年時

 代に突入する中で一つの企業に終身雇用される概念は希薄化し、ますます流動的にな

 っていく

 

〇多様性:

 人口減少によって外国人労働者の雇用が進むといった国籍面や女性管理職比率の向上

 などのジェンダー面はもちろん、人それぞれ働き方も働く価値観も多様化し、その多様

 性を組織の力に変えていくことが求められている

 

〇社会価値・共感価値性:

 CSVの取組推進に代表されるように企業として持続的な社会に対する貢献が求められ、

 企業評価の軸として顧客や一般生活者からもその企業姿勢が重視されていくようになる

 

 上記4つのポイントを踏まえるとこれからの現場リーダーに求められるリーダーシップの重要な要素は以下のようなものになると考えられる。

 

1. Visionary Management Skill
世の中の不確実性を捉え、人の流動性に対して組織のパフォーマンスを最大化するためには、組織がどこを目指し何を目的として動いていくのかの志向性を与えてマネジメントしていくことが必要であり、求心力高く導くためのビジョンを描く力とそれを組織に浸透させられる力が重要になる
 
2. Flat Communication Skill
職場の心理的安全性を高め、多様性を組織の力に変え、変化に強い組織にするためにはリーダーとしてのメンバーとのコミュニケーション力が重要になる(また、それによって組織の中で新しいアイデアを生まれやすくすることで変化に対する新たな戦い方を獲得する機会を増やすことにもつながる)
 
3. Growth-Mindset
従来のビジネスに安住することなく、多様な方面からのフィードバックをポジティブに受け止め、自分自身をアップデートし続け、不確実な未来に挑戦を厭わないマインドをリーダー自らが持ち行動することで組織の成長を導くことが重要になる
 
4. Integrity
企業としての社会貢献が重要視される風潮の中で、昨今の企業の不祥事やそれを受けてのSNSでの炎上による企業価値の毀損などを見ても、コンプライアンスを守っているだけでは組織としてのリスクは回避できない現状にある。組織の一人人りが人間としての高潔さとプロとしての誠実さを兼ね備え、日頃の行動においてそれを発揮することが求められ、それをまずはリーダーが体現することで企業人として顧客からもメンバーからも認められることが重要になる

 

 ウィズコロナ時代になり、オンラインでの働き方やコミュニケーションは当たり前のものになってきているいまの状況において、物理的には離れた環境にいるメンバーをうまくマネジメントし顧客や社会からの評価を組織として高めていくためには、1,2のスキルと3,4のマインドをどのように高めていくかというのはより問われていく企業が増えていくのではないかと考える。

 では、上記4点をどのように強化していけばよいのか。基本的には組織における階層に従って徐々にカスケードダウンしながら組織に具備していくのが方策としては妥当と言えるだろう。なぜならば、ビジョン(1)であってもコミュニケーション(2)であってもトップダウンでの働きかけが基本であるし、マインド面(3,4)についてもリーダーがメンバーに姿勢として見せてメンバーを薫陶していくことが組織としても大切だからである。具体的な育成施策については、ここでは長くなるので割愛するが、気になる方はぜひ当社にお問い合わせいただき一緒に知見を深めるパートナーとしてこの社会に貢献できる活動ができれば大変嬉しく思う次第である。

 

 

参考書籍:「リーダーシップ進化論」 酒井 穣・著

 

 

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