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「メンドクサイ」の妖しい魔力から自分自身を解き放て

 人生は毎日の行動の積み重ねで形成されます。今日の自分の行動は、明日からの自分の行動に少なくない影響を及ぼすように連関しています。今日の行動で多くのことを実施しておけば、明日からの自分の行動は、今日何もしなかった自分よりも明らかに楽である世界が待っています。古代ローマ帝国では、初夏に行った農作業の量次第で、秋の収穫量に大きな差が出るという教訓があったといいます。

 特にビジネス面では、今日できることを着実に実施しておけば、明日からの仕事が楽になるのはもちろんですが、より高品質な成果を創出できる可能性も高まってきます。職場のルールとして毎日ルーティンとして実施すべき仕事は、ルールに基づいて実施されますが、同じルーティンであっても週や月単位ですべき仕事や、準備や深い考察が必要な仕事、創造力が求められるような仕事などは、締め切りより前に手をつけておくことで、確実に高い成果につながることが期待できます。

 

 この「早めに手を付ける」という行動を実際に始めるのは意外に難しいもので、より良い結果につながることがわかっていても、行動には至りません。「今」実施できる時間があるのにもかかわらず、翌日以降に回してしまいます。これを「先送り」と言います。(自分の中の)締め切りまでに実施すればよいのであれば、今日実施する必要はない。だから「今日は実施しない、他のことをしよう」というようなマインドが形成されます。

 このように「先送り」を考えてしまう最大の要因は、「メンドクサイ」というマインドに支配されてしまうということではないでしょうか。ある機関の推計によると、この「メンドクサイ」によって行動を先送りしたことによる経済損失は、日本全体で5兆円を超える規模にもなるそうです。※ここでの経済損失とは、「メンドクサイ」で先送りしたために、すべきことや手間が増え、その増えた分を金額に換算したものです。

 

 確かに「先送り」することによって、一時的に楽な時間を得ることはできます。しかし、その時間を別のことに費やしておけば、価値のある有意義な時間につながったかもしれません。多くの場合、先送りして得られた時間は、何もせずにダラダラ過ごすことになります。つまりその時間は空費され、失うことになるのですが、この時間的な損失に加え、翌日には翌日の仕事が待っています。すべき仕事はさらに後回しになり、締め切りが近くなって慌てて実施するしかなくなります。このように、「先送り」することで、その仕事を取り巻く環境は少しずつ悪化し、余計に「メンドクサイ」ものになってしまうのです。

 

 この「先送り」につながる「メンドクサイ」という感情は、「MUST:急いで実施する必要がないものはしたくない(後でやれば良い)」「CAN:できれば何もしたくない」「WILL:自分がやりたいと思わないことはしたくない」という3つのパターンに分類できます。そしてこれらのパターンに陥ってしまう最大の要因は、実施する前に「考えすぎてしまう」ことにあります。直観的に判断するものなのではないか?と思われそうですが、実はスケジュール感や上長からの指示などを思い出し、あれこれ考えて試行錯誤を繰り返して判断しています。このあれこれ考えてしまうことにより、「今」実施しなくてもいい理由、またはすべきではない理由を見つけ出すことになります。

   ・「今」実施する意義やメリットが見いだせないので      (先送りしよう)

 ・身体が疲れていて動くのがしんどいので                              (疲れが取れるまで先送りしよう)

 ・今は興味や関心がもてないから                                          (気持ちが盛り上がるまで先送りしよう)

 ・やるなら、しっかりやりたいと思うので                              (今は十分な時間をとれるまで先送りしよう)

 ・合理的で何事も効率よく終わらせたいので                           (まとめて実施した方が効率的なので先送りしよう)

などに収れんされるはずです。

 

 これらの理由を総称して「メンドクサイ」になるのです。先行して少しでも実施しておけば、より良い結果を生み出すことがわかってはいても、その効果以上にすべきではない理由を見つけ出すという思考パターンです。そしてこの思考パターンは、自身に根深く定着することになります。まず、何かを実施する前にあれこれ考えてしまい、過去の導いた理由を思い出し、結局何もしないことを選択してしまう。この「何もしないことが一番楽だという思い」はヒトにとって妖しい魅力を放っているようです。実際に古代ローマの時代からすでに、「メンドクサイ」から先送りにしていたために、教訓として残っているのでしょう。

 

 では、この「メンドクサイ」から抜け出して、実行力のある自分自身を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか。まずは、「メンドクサイ」に支配された自分は、他者からどのように見えるのかをイメージしてみてください。

 ・面倒な事を後回しにする「逃げ癖」が習慣になっている人

 ・計画性がなく、いつもギリギリになってバタバタする人

 ・その人にはいい仕事は期待できない

など、一様にネガティブな評価が下されることになります。

 

 このように見られることに嫌悪感を抱くのであれば、「メンドクサイ」の支配から抜け出せる余地は十分にあります(なお、嫌悪感を抱かない人は、このようなイメージを持たれても平気なので、抜け出そうというモチベーションにはつながらないでしょう)。抜け出すためには、以下の4つを「あれこれ考えずに」実践することにつきます(考えると「メンドクサイ」の沼に落ちてしまう)。なお、この4つは極めて普通で当たり前のことであることを認識してください。

 

 ①      ネガティブな言葉を言わないようにする

 ②      とにかくやり始めてみる

 ③      優先度が高いものから順々にこなしていく

 ④      常に自身のコンディションを整えておく

 

 まずは、①→②→③の順に実施してみましょう。①は自分自身のマインドを自ら下げてしまう行動です。「疲れた」「だるい」「やりたくない」「無理」「面倒くさい」などなど、ついつい口癖のように発してしまう言葉により自分自身に暗示をかけてしまい、本当はそれほど疲れているわけでもないが、疲れているように感じてしまいます。なにより、ネガティブな口癖は周りにもよい影響を与えることはなく、嫌な空気を伝搬させてしまいます。

 ①のような発言に注意して自分から取り除いたあと、②に移行します。①のような口癖があると、②のような考えで取り掛かることができません。①を乗り越え、②のようにあれこれ考えずに実践してみると、億劫だったと思っていた仕事が、意外に大変ではなかったことに気づくことが多いはずです。このような小さな成功実感が蓄積されてくれば、とにかく取り組んでみる自分ができあがっているはずです。③比較的たやすく実行できるはずです。自分自身で仕事に優先順位をつけます。その際に、期限はまだ先にあるが、考えないといけないような仕事の優先順位を上げることを考慮してください。実際に先行して実施できれば、何度も考え直す時間が増えるので、考える仕事の品質は格段にあがるようになります。自己ベストといえるような、品質の高いと思えるアウトプットが出来上がれば、自信をもって他者にもお披露目できるでしょう。これまで以上に深く考えたアウトプットになるので、どんな質問が来ても的確に回答できるはずです。

 このように当たり前のことを当たり前にできるようにするマインドを醸成することが、「メンドクサイ」から自分を解き放つ有効な方法なのです。

 

 なお、常に自分を追い込んで仕事をすべきだといいたいわけではありません。④にあるコンディションを整えるには、体力、体調、マインドなど、心身ともに良い状態を保つ必要があります。そのためには、適切な休養により体と頭を休め、ストレスを減らすための行動も必要です。それらの行動と仕事を上手に組み合わせながら、「メンドクサイ」に支配されないマインドを保つことが重要なのです。

 

マンデー

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