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未来の子どもたちのための学び

日本の子供達の学力は高い。OECDが、世界79カ国・地域の15歳を対象として実施した国際学習到達度調査(PISA)では、「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」で長年にわたって上位であり、22年の調査結果でも日本の教育レベルは依然高い。

しかし、人生に対する満足感や自己肯定感、自己効力感などの項目で、日本は他国と比較して軒並み低い傾向がある。自己効力感が低いと、自分が何かに挑戦して成功するという信念が弱まり、結果として新しい課題に挑む意欲が減少しこれが日本の子供達の解決法が存在しない課題に立ち向かうことに対して苦手な傾向になってしまう一因となっている。

また東京大学とベネッセ教育総合研究所の子どもの「幸せ実感」にかかわる要因分析によると、幸せ実感と特に強い相関を示している要因は自己に関する認識(自信、粘りづよさ、挑戦心)であり、これからの子供たちにとって、答えのない問いに挑み自律的に人生を切り開いていくための能力、姿勢が必要だと思われる。

こうした調査結果も受け、文部科学省は最新の学習指導要領で「生きる力」を継続的な指針としている。「生きる力」とは知識だけでなく「人間性」「思考力」「表現力」といった力を育み、狭い意味での学力で測れない、時代に見合った力を養うことを指す。文部科学省によれば、学童期のさまざまな自然体験、社会体験、文化的体験は、12~18 歳の「新奇性追求」「肯定的な未来志向」「外向性」などによい影響を与えるという。

一方で、こうした次世代の教育環境が得られるかどうかは家庭の経済状況により左右され、「生きる力」を育めるような次世代教育は、十分に行きわたってはいないのが現状だ。

ではどうすれば「生きる力」を、多くの子どもたちが育める環境をつくれるのだろうか。

そのヒントになり得るのが、幸福度ランキング世界一であり屈指の教育先進国・フィンランドである。生きる力育むには世の中の現象や社会課題に対して、座学と体験を組合せた実践を通して、現象の本質を子供自身の頭で考えることが重要だ。この探究過程を通して、詰め込みベースの正答率を上げる教育からの脱却を図ることができる。フィンランドの、フェノメノンベース・ラーニング(現象に基づいた学習)はその一つだ。生徒が世界の事象を理解できるよう、体験をベースに複数の科目を横断的に学ぶ。たとえば英語の授業では、文法を学ぶだけではなく、気候変動に関する英文記事を使う。体育ではただ校内で運動するだけではなく、森に出かけて動植物について学び、動植物や気候の変化も観察する。生徒への質問も、正誤の決まった問いより、そもそも問いが何かを生徒に考えさせる質問が多い。また生徒を一つの評価軸で測るのではなく、子どもの特性や習熟度に合わせ、個別に先生がガイドできる教育環境がある。

その他にも質の高い教育をどの生徒にも平等に提供し、小学校に上がる前のプレスクールから大学院まで、すべての学校教育が無料で受けられ、その後も社会や家庭生活、地域との関わりを通して学び続ける。

日本においてもこうした体験を公平に提供する取組が必要だ。また、「失敗しても終わりではない」、「ひとりひとりの行動や意見は社会に影響を与えられる」というメッセージを伝え、ゲーミフィケーションを取り入れ、楽しみながらも社会や自分自身について深く考えるきっかけとなるよう工夫が必要だ。また日本の社会課題を題材にするなど、子どもたちが将来向き合うことになるであろう事態に対する心構えを身に着けられるようにしてあげられることも大切だ。

変化の速い現代社会では予測不能な課題が次々と現れる。AI技術の急速な発展もその一つだ。AIは様々な業務を代替し、クリエイティブな活用方法も模索されているが、そこには「こうしたい」という人間の意志が求められる。好奇心や社会に課題を感じる感受性、ありたい姿を描きAIをどう使うか考える力が重要だ。

こうした状況下で日本の未来を担う子供たちに、多様な視点で考え、未知の問題を見出し、挑戦する総合的な「生きる力」を育むことが求められる。活き活きと答えのない問いに挑み、希望に満ちた未来へ繋ぐためにも我々大人は子供たちの生きる力を育むことを本気で向き合わなければならない。

エウロパ

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